2023/08/17

無論、夏はビールにかぎるが、ここ最近飲んだあとお腹が弱火の炙りみたいに燃えている感じがして調べると膵臓系がやられている可能性があって怖くなり自重。会社の冷蔵庫にいつも入っている上司のウィルキンソンを思い出し、これを飲んでみると喉越しがビール、これだ! 今年の夏はウィルキンソン

掲載時から話題になっていた『ハンチバック』だけど、試し読みで冒頭風俗の記号的描写が鼻についてそこから読めていない。何かと風俗を題材にした小説がここ何年かあるけれど、どうも浮き足だっているというか、実存が軽視されているに等しい。実在といえば、ハンチバックの芥川賞受賞時は当事者性をクローズアップするメディアが目立ったが、端的にいってくだらないの一言で事足りる。つまり本来当事者でなくても当事者のことを語っていいはずのフィクションという形式の自由が、当事者ゆえの強度という言説に回収されることで、形式の弾力が失われてしまうのではないかという懸念がある。しかしそもそも、マスメディアに芸術への批評性を期待するというのが無理な話だけど。

読書会で『それは誠』、作品を「作家の誕生」の瞬間と評して語られている方がいて素晴らしい指摘だと思った。それと同時に、作家の饒舌が一発の瞳に射られ敗北するさまは、「作家の死」と見てもいいと思ったが、その場では言えず、自分の回転の悪さを恥じる。言いたいことっていっつもあとから来るんだよなあ、まったく。