2023/08/20

この国の住民は憲法で保障された権利を主張する健全な習慣を持たないため、自分たちの権利が停止状態になっていることに気づかないのが当たり前で、むしろ自然ですらあるのだ。

ジョゼ・サラマーゴ『見ること』雨沢泰訳(2022 河出書房新社 49頁)

 

『白の闇』で描かれるのが市民レベルでの混乱なら、『見ること』は政治レベルの混乱だが、白票への市民の落ち着きに対し政治の混乱っぷりが愉快。もちろん上述に対し硬直的な左派の市民的なエリーティズムというか、無関心も政治的反応のひとつと思う立場からすれば「だから何?」とつっけんどんに投げかけたくもなるのだけど、どの国でも政治への苛立ちは比較的似ているのが垣間見えて面白い。