2023/10/30

Kindleで何年か前に買った金原ひとみ『AMEBIC』の、何年か前に自分がハイライトを引いていた部分。

 

生きるために必要な仕事というもののために、生きる時間を割くという事は、とてつもなく儚く、切ない。

金原ひとみ『AMEBIC』

 

残業終わりの夜汽車にロマンのかけらもなく、充血した目に入ってくる情報量なんてたかが知れてるんだけど、過去の自分から今の自分へ連なる言葉の偶然、連続性にぶつかって嬉しいものがあった。自分らしくいられる時間か、労働か、『AMEBIC』というテクストが示すのは他でもなく分裂する自己の葛藤であり、まるで世界には2つの選択肢しかない、と極端さを派手に踊ってとっ散らかってみる、ぶっ飛んだ繊細さは初期金原ひとみの尖った魅力だと思う。それでも、非労働の時間を「生きている」と思えるのは端的にいってナイーヴなオプティミストだろう。このとき、「書く」ということはどういう時間にあたるのかが重要になってくる。書いている時、生きてる? 死んでる?