2025/01/22

年末珍しく風邪をひいてから今にいたるまで体調がなんとなくすぐれず、常に低調のまま年明け仕事の荒波にもまれている。そのせいか感覚がいつにも増してうるさく、光や音の攻撃性が増幅され煩わしい。

 

低調なまま迎えた年末年始の休みもどこか味気なく終わって、そうした単調さゆえに仕事始めは去年より意外とすんなり入ることができた。「仕事つらい病」だのをネットで見て、そんなことよりも「生きるのがつらい病」だろう恥を知れと思わなくもなかったけど、長い休みから仕事へ身体を慣らしていくために大切なことは、はじめに躓かないことだと思っている。そして、物事はすべてはじまれば終わる、と自分によく言い聞かせる。はじめだけ乗り越えられれば、あとは勝手に終わるのだ。

 

金井美恵子『軽いめまい』が文芸文庫で再版がかかっていてまんまと手にとってしまったのだが、この作品が最近英訳されていることなどつゆ知らず(たとえば「紀文の竹輪」なんてどう訳すのだろう)、自分が思う以上に生活はノイズに満ちていることを再確認する。

 

いわゆる「物語」が退屈さの打破へ力点を置くのなら、『軽いめまい』で描かれるのは退屈さが退屈さのまま引き延ばされていく「生活=反物語」で、そこでは何もはじまることがない。終盤畳みかけられる、スーパーマーケットの商品の羅列のイメージは退屈をいっそう窒息的に駆り立てる。何かはじまったっていいじゃないか。